部屋の雰囲気を決め、日々の暮らしに寄り添う「椅子」。中でも、北欧の名作椅子は、世代を超えて愛される特別な存在です。
「いつかはYチェアが欲しい」「一生使える椅子を探している」——そう思っても、決して安くない買い物だけに、失敗したくないという不安もあるのではないでしょうか。
この記事では、数ある名作椅子の中から、単なるカタログではなく、「日本人の体型や暮らしに合うか」という視点での選び方や、メンテナンスの実情まで踏み込んで解説します。
- 日本人の体型に合わせた「座面高」と「差尺」の黄金比
- ダイニングからラウンジまで、用途別・名作椅子の比較ポイント
- 修理はできる? 正規品とリプロダクト品の決定的な品質差
- 正規代理店が教える、長く愛用するためのメンテナンス術
この記事の目次
1. なぜ北欧の椅子は「名作」として愛され続けるのか?
「名作」と聞くと、少し敷居が高いと感じるかもしれません。しかし、北欧の椅子が時代を超えて愛されるのには、私たちの暮らしに寄り添う、明確な理由があります。それは、厳しい自然環境の中で育まれた、実用的でありながら美しい、北欧ならではのデザイン哲学に根差しています。
- 普遍的なデザイン:流行に左右されない、シンプルで機能的なフォルムが、どのような空間にも調和し、何十年経っても古さを感じさせません。
- 卓越した機能性と座り心地:見た目の美しさだけでなく、人間工学に基づいて設計された座り心地は、長時間座っていても疲れにくいのが特徴です。日々の暮らしの道具として、機能性が追求されています。
- 受け継がれるクラフトマンシップ:熟練の職人による手仕事と、経年変化を楽しみながら長く使える高品質な天然素材。使い込むほどに味わいが増し、親から子へと受け継いでいけるほどの耐久性を誇ります。
これらの要素が融合することで、北欧の椅子は単なる家具ではなく、日々の生活を豊かにする「一生もののパートナー」となるのです。
2. 後悔しない「一生もの」北欧名作椅子の選び方 5つのポイント

数々の名作を前に、「自分にはどれが合うのだろう?」と迷ってしまうかもしれません。デザインだけで選んでしまい、後から「足がつかない」「テーブルと合わない」と後悔しないために、プロが教える5つのチェックポイントをご紹介します。
2-1. 座り心地とサイズ感:座面高(SH)と“足裏の接地”

北欧の椅子を選ぶ際、最も注意すべきなのが「座面高」です。 欧米の平均的な体格に合わせて作られたオリジナルの椅子は、座面高が45cm〜46cmと、日本人の中でも小柄な方には少し高い場合があります。
- 足裏の接地:椅子に深く腰掛けた時、足の裏が床にしっかりつくか確認しましょう。足が浮くと太ももの裏が圧迫され、血流が悪くなり疲れの原因になります。
- 背もたれの当たり具合:長時間背もたれに寄りかかることが多い場合は、背中をやさしく受け止める、広めで自然なカーブのある背もたれを選ぶと、疲れにくく感じられます。
2-2. 利用シーンで選ぶ:ダイニング/ラウンジ/デスク

その椅子を「どこで」「どのように」使いたいかを具体的にイメージしましょう。
- ダイニング:食事や家族団らんに。汚れに強い仕上げや、出入りしやすいアームレス(肘なし)やショートアームのデザインが便利です。
- リビング・ラウンジ:読書や映画鑑賞など、くつろぎの時間に。座面が低く、奥行きがあり、後傾姿勢で体を預けられる安楽性の高いものを選びましょう。
- デスク:在宅ワークなどで長時間座る場合は、正しい姿勢をサポートする背もたれや、デスクに収まりやすいサイズ感が重要です。
2-3. テーブルとの相性:差尺(さじゃく)とアームの高さ

ダイニングチェアの快適さを左右するのが、テーブル天板の高さと座面高の差(差尺)です。一般的に27〜30cmが食事がしやすい目安と言われます。
- 差尺:テーブル高(例:72cm)− 座面高(例:45cm)=差尺27cm
- アームの干渉:アーム付きは楽ですが、テーブルの幕板に当たることも。収納できない場合、動線が邪魔にならないかも確認を。
※テーブル高・体格・座り方で“ちょうどよさ”は変わります。迷ったらお気軽にご相談ください。
2-4. 素材と仕上げ:付き合い方が変わるポイント

同じ木の椅子でも、仕上げによって日々の扱いやすさ、経年変化の出方が変わります。
- ソープ/オイル仕上げ:木の質感をそのまま楽しめ、経年変化(色の深まり)が最も美しい仕上げ方です。傷や汚れも味になりますが、定期的なメンテナンスが必要となります。
- ラッカー塗装:表面に塗膜を作るため、水や汚れに強く、メンテナンスフリーです。ただし、深い傷がつくと修理が難しい場合があります。小さなお子様がいるご家庭では扱いやすいでしょう。
2-5. デザイナーの哲学とストーリー:愛着は“背景”で深まる

その椅子がどのような想いでデザインされたのか、背景にあるストーリーを知ることで、愛着はさらに深まります。ウェグナーの職人魂、アアルトの自然への敬意など、共感できるデザイナーの椅子を選ぶのも素敵な方法です。
3. 時代を超えて愛される北欧名作椅子6選
ここからは、北欧デザインの黄金期を築いた巨匠たちと、彼らが生み出した珠玉の椅子たちをご紹介します。用途やサイズ感も記載しましたので、比較検討にお役立てください。
3-1. CH24(Yチェア)【ダイニング】
北欧デザインの代名詞とも言える一脚。Y字型の背もたれが特徴で、アームと背もたれが一体となった形状は、食事中だけでなく、食後のくつろぎの時間も優しく体を支えます。職人が手作業で編み上げるペーパーコードの座面は、通気性が良く、使い込むほどにお尻の形にフィットしていきます。
3-2. CH20(エルボーチェア)【ダイニング/スタッキング】
低い背もたれが「肘掛け(エルボー)」の役割も果たす、機能美あふれる椅子です。背中をしっかりとホールドしながらも、アームが短いためテーブルへの収まりが良く、動線を邪魔しません。さらにスタッキング(積み重ね)も可能という、実用性の高さも人気の理由です。
3-3. J39 シェーカーチェア【ダイニング】
「ピープルズチェア(庶民の椅子)」として親しまれる、デンマーク国民の椅子。シェーカー教徒の椅子をルーツに持つシンプルで誠実なデザインは、どんなインテリアにも静かに寄り添います。無垢材とペーパーコードという素朴な素材使いは、日本の住宅との相性も抜群です。
3-4. J52B【ダイニング/ラウンジ】
英国のウィンザーチェアを現代風にリデザインした一脚。背もたれのスポーク(棒)が美しく、広めの座面とアームが体をゆったりと受け止めます。ダイニングチェアとしてはもちろん、クッションを置いてリビングでくつろぐラウンジチェアとしても活躍します。
3-5. スツール 60【多目的】
フィンランドのバーチ材を曲げた「L-レッグ」と呼ばれる脚部が特徴の、3本脚スツール。1933年の発売以来、世界中で愛され続けています。椅子としてだけでなく、サイドテーブル、花台、ベッドサイドの照明置きなど、様々な使い方ができます。スタッキングした姿の美しさも格別です。
3-6. シューメーカーチェア【スツール】
その名の通り、かつて靴職人が座り心地を良くするために座面をお尻の形に削ったことが始まりです。3本脚のユニークなフォルムと、お尻の形に合わせて削られた座面による高いフィット感が特徴。無塗装のブナ材は、使い込むほどに飴色に変化し、自分だけの椅子に育っていきます。
※上記は代表例です。「見た目」だけでなく、体型・用途・テーブルとの相性で“合う名作”は変わります。
参照・引用元:"https://www.carlhansen.com/ja-jp https://www.artek.fi/jp/"
4. まだある!知っておきたい北欧デザインの巨匠と名作たち

ここからは、北欧デザイン史を語る上で外せない名作椅子たちを、デザイナー別にご紹介します。現在は当店での展示・販売はございませんが、知識として知っておくことで、北欧家具への理解がより深まるはずです。
アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)
- セブンチェア:世界で最も売れたスタッキングチェア。成形合板によるしなやかな座り心地。
- アントチェア(アリンコチェア):蟻のような愛らしいくびれを持つ軽快な椅子。
- エッグチェア:卵のように体を包み込むラウンジチェア。プライベートな空間を作り出します。
フィン・ユール(Finn Juhl)
- No.45:「世界で最も美しいアームを持つ椅子」と称されるイージーチェア。
- ペリカンチェア:ペリカンが翼を広げたような、ユーモラスで芸術的なフォルム。
その他の名作たち
- CH07(シェルチェア):ウェグナー作。翼のような座面と3本脚が特徴のラウンジチェア。
- スパニッシュチェア:モーエンセン作。厚手の一枚革を使用した、力強いラウンジチェア。
- パイミオチェア:アアルト作。結核療養所のために設計された、積層合板の曲線が美しい椅子。
- リエンダーハイチェア:子供の成長に合わせて調整できるハイチェア。
5. 正規品とリプロダクト品の違いとは?

名作椅子を調べていると、安価な「リプロダクト品」を見かけることがあります。意匠権の期限が切れた製品を他社が独自に復刻したものですが、長く使う前提なら“選び方”は慎重に。
| 比較項目 | 正規品 | リプロダクト品 |
|---|---|---|
| 品質・耐久性 | 厳格な品質管理と高品質素材。長期使用を前提に作られている。 | メーカーにより品質差が大きい。素材グレードが低い場合も。 |
| デザインの再現度 | デザイナーの意図したラインや座り心地に近い。 | 寸法や曲面の違いで、見え方・座り心地に差が出ることがある。 |
| 修理・保証 | メーカー保証やパーツ供給、修理相談の窓口がある。 | 保証が短い/修理不可(使い切り)になりやすい。 |
| 資産価値 | ヴィンテージ価値が残る(上がる)可能性も。 | 資産価値は基本的に残りにくい。 |
特にYチェアのペーパーコード張り替えや、セブンチェアの脚部修理など、「直して使い続けられる」ことが正規品の最大の価値です。初期投資は高くなりますが、長期的に見れば正規品の方が経済的で、満足度も高いと言えるでしょう。
参考記事:Yチェアのリプロダクト品と正規品、どこが違う?価格・品質・耐久性の違いから選び方まで
北欧家具ブランドの正規品を取り扱う、正規代理店Shinc lab.のご紹介
私たち「Shinc lab」は正規代理店として、販売後の修理相談や張り替え依頼を日常的に受けています。その経験から断言できるのは、「長く使う前提なら、正規品の安心感は価格以上の価値がある」ということです。気になる製品がございましたらお気軽にお問い合わせください。
6. 名作椅子を生み出した主要ブランド
Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)

ウェグナー作品の最大の生産拠点。デンマークの伝統と技術を守り続けています。
Artek(アルテック)

フィンランドの自然素材を活かした、アートとテクノロジーの融合を目指すブランドです。
FDB Møbler(FDBモブラー)

「丈夫で美しく、手頃な価格」を掲げ、デンマーク国民の生活を支えた協同組合発のブランドです。
まとめ:椅子は「暮らしの相棒」。だから、ちゃんと選ぶ
北欧の名作椅子は、単なる“座る道具”ではありません。長い冬を快適に過ごすための知恵であり、職人の技術の結晶であり、あなたの人生に寄り添うパートナーです。
「座り心地」「サイズ感」「テーブルとの相性」「メンテナンス」。この4つを押さえて選んだ一脚は、きっと暮らしを豊かにしてくれるはず。
気になる椅子が見つかったら、ぜひ商品ページでサイズや素材、仕上げを確認してみてください。迷ったときは、店舗・オンラインどちらでもお気軽にご相談ください。体格や暮らしに合わせてご提案いたします。

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