Shinc lab.

オンラインスタッフ ムナカタの偏愛アイテム帖
休日、夕方五時のちいさな宴

1. 包丁を持つ前に、まず一杯
今日は何を作ろう、と冷蔵庫を開けるより先に、することがある。 グラスにビールを注ぐ。ただそれだけのことなのに、ここから一日のいちばん好きな時間が始まっていきます。
まな板の横に置いたグラスを、玉ねぎを切りながら、ひとくち。 火加減を見ながら、ひとくち。 味見の前に……まあ、ひとくち。
誰に許可をもらったわけでもないけれど、この時間だけは自分に小さくOKを出しているのかもしれません。台所にひとり、湯気と泡。夕飯づくりという名の、ささやかな宴です。わかってもらえると嬉しいのですが、これがなかなか、いいんです。
そんな時間のために、夏に向けてこのMOHEIMのゴブレットを迎えました。 選んだ理由は、低めの脚(ステム)。本格的なワイングラスは素敵だけれど、料理の片手間に扱うには少し緊張する。このグラスはどっしりと安定していて、いい感じにほろ酔いのわたしが少々ぞんざいに置いても、静かに構えていてくれます。
ただの料理中の一杯です。でも、このグラスに注いだ瞬間だけ、それはちょっと「晩酌」という顔になる。日々のなかに、自分でつくる小さなご褒美タイム。そういうちいさな贅沢が、案外、毎日の機嫌にいちばん効くのかもしれません。
2. 朝とお昼の、しれっとした名脇役
半熟卵にサラダ、パン、マリネ。 そこへこのグラスにドリンクを注ぐと、いつもの食卓がふっと、おうちカフェの顔になりました。
グラスが一つ違うだけで、テーブルの印象がグッと上がりました。かなり満足です。
満水で355mlと、意外とたっぷり入るサイズ。 オレンジジュースも、アイスコーヒーも、食後のヨーグルトとフルーツを盛れば、そのままデザートカップにもなる。一日のあちこちに、しれっと顔を出す。「ビール専用」のつもりが、いつのまにか我が家の常連になりそうな気配。

3. しまわなくていい、ということ
毎日使うとなると、最後に待っているのは——そう、洗い物です。
いいグラスほど「手洗いで、やさしく」となりがちで、それがだんだん腰を重くしてしまう。気づけば食器棚の奥で、「いつかの特別な日」を待ちつづける置物になっている。……うちにも、そういう子が一軍にいます。
でも、このゴブレットは食洗機にそのまま入れられます。
おまけに電子レンジ対応なので、冬は同じグラスでホットワインを温め直すこともできる。夏はキンと冷えたビール、冬はあたたかいホットワイン。一年を通して、無休で私と付き合ってくれるわけです。
特別なのに、気をつかわなくていい。
これが、地味にいちばんありがたいんです。毎日のことだから、洗うのがラクでないと続かない。続かないと、しまい込んでしまう。だからわたしにとってこれは、しまわなくていいグラス。出しっぱなしでも様になって、遠慮なく洗える。暮らしの道具は、結局それがいちばん長く好きでいられる気がします。
4. おわりに
気取らないのに、少しだけ特別。
そんなグラスのおかげで、なんでもない夕方の台所が、一日のいちばんのお気に入りになりました。
さて、そろそろ立ちましょうか。 ……その前に、一杯だけ。
